マンションQ&A

Q:「管理組合」の業務とはどのようなことですか。

A:

  管理組合の主な業務はマンションの「敷地及び共用部分(建物・設備等)の維持管理(共同の利益の維持増進)」

 と「良好な住環境の確保」にあります。そのため、管理組合は、敷地及び共有部分の取り扱いについてのルール(管

 理規約)を区分所有者の集会(総会)によって決議し、あわせて、管理者(理事長)及び役員を選任し、その業務に

 あたります。

  具体的には、定期点検など共用部分の維持管理業務、総会の開催など管理運営業務、会計業務、日常連絡業務

 などが挙げられます。

 

Q:「管理者」とは何ですか。 

A:

  管理組合で決定された事項を実行に移す者のことです。

   区分所有法では、「区分所有者は規約に別段の定めがない限り、集会の決議によって管理者を選任、又は解任

  することができる。 管理者は、その職務に関して区分所有者を代理し、共用部分ならびに建物の敷地及び付属

  施設を保存し、集会の決議を実行し、ならびに規約で定めた行為をする権利を有し、義務を負う」と定めています。

   マンションは区分所有者全員が共同で管理するのが原則なので、マンションに関する意思決定などは管理組合

  が行い、管理者はその決定された事項を実行に移す役割を担っていると考えればよいでしょう。

   なお、管理者は個人でも 法人でもよく、区分所有者でなくても構いません。しかし、管理者の権限(集会の決議

  の実行、損害保険契約に基づく保健金の請求・受領を区分所有者を代理して行う)を考えると、管理者は管理組

  合の代表である理事長が務めるのが一般的です。

 

Q:役員の役割と選出方法について教えてください。 

A:

   理事会は、区分所有法で定められている機関ではないのですが、管理組合の業務執行機関として、総会の決議

   にしたがって実質的な活動を行います。

   役員には理事長以下、理事と監事がいます。役員の人数については、概ね10~15戸に1名程度、最低でも3名、

  多くとも20名ぐらいが適当と考えられます。

   管理組合の役員は現に居住している区分所有者が望ましいのですが、区分所有法では役員の選出の仕方につ

  いて特に規定しておらず、それぞれの管理規約の中で定められた方法をとります。

   現実的には輪番制の1年交代が多いようですが、最近は再任制の活用や2年任期の半数交代制など、管理組合

  の仕事がよく理解され、運営の継続性を保つ方法を工夫してきているようです。

 

Q:「管理組合」と「管理組合法人」の違いは何ですか。 

A:

  大きな違いはありません。ただし、管理組合法人には「登記行為」が認められています。

  管理組合と管理組合法人の違いは、権利・義務の主体として、対外的な法律関係が明確かどうかということです。

  しかし、団体として行う行為能力については、ほとんど違いがありません。法人税法においても、管理組合は「法人

 格のない社団」として公益法人と同じ扱いになり、非収益事業所得には課税されないことになります。

  また、第三者との契約行為や金融機関からの融資の手続きなどについても、両者に差はありません。ただし、管

 理組合法人でなければ認められていないことに「登記行為」があります。不動産登記などの登記行為は、法人登録

 をしていない管理組合名義では認められません。

 

Q:「管理組合」も税金がかかるのですか。 

A:

  通常の管理組合活動においては課税の心配はありません。ただし、管理組合の駐車場を外部の人に貸して収入

 を得るなど、収益事業と見なされる場合には課税されます。

 

Q:「管理規約」を変更するにはどうしたらよいのでしょうか。

A:

  「管理規約」を変更するには、総会において区分所有者及び総議決権の4分の3以上の多数による決議が必要

 です。これは総会に欠席している区分所有者も含めて、組合員の総数と議決権の総数のどちらも4分の3以上の

 賛成が必要であるということです。

  また、管理規約の変更を行う総会を招集する際には、議案の要領も通知する必要があります。さらに、管理規約

 の変更によって一部の区分所有者に特別の影響を及ぼす場合は、その区分所有者の承諾も必要となります。

 

Q:「使用細則」の位置づけについて教えてください。 

A:

  「使用細則」は管理規約に基づいて、管理規約を補完するために定めるもので、マンションの利用や生活のルー

 ルに係わる内容をきめ細かく、わかりやすく定めるものです。

  具体的には、生活全般の使用細則のほか、①専有部分の修繕に関すること、②駐車場、③バイク置場、④自転車

 置場、⑤ペット飼育、⑥集会室などが考えられます。

  「使用細則」の設定、変更については、通常は総会の普通決議(過半数の賛成が必要)で定めることができます

 が、規約に抵触する場合や規約によっては特別決議としている場合がありますので、それぞれのマンションの規約

 をご確認ください。

 

Q:「専用使用権」とは何ですか。 

A:

  共用部分ではあるが、特定の人だけが使用できる権利のことです。

  各住戸に接するバルコニーのように、共用部分でありながら通常、特定の人だけがもっぱら使用することができ、

 他の人は使用できない部分のことを「専用使用部分」といい、その専用使用部分を使用できる権利を「専用使用権」

 といいます。専用使用部分の範囲は、マンションによっても異なりますが、駐車場や専用庭、玄関扉、窓枠、バルコ

 ニーなどが挙げられます。

  しかし、これらは通常は「共用部分」ですので、勝手に形状を変更するなどの行為はできません。

 

Q:総会の招集はだれが行うのですか。 

A:

  総会の招集は原則としてマンションの管理者である理事長が行いますが、管理者でなくとも、組合員の5分の1以

 上、かつ議決権総数の5分の1以上の賛成があれば、管理者に対し集会の招集を請求することができます。

  この場合に、もし管理者が2週間以内に当該請求の日から4週間以内の開催予定日を指定して総会招集の通知

 をしない場合は、請求を行った組合員(区分所有者)が集会を招集できます。また、監事は管理組合の業務の執行

 及び財産の状況について不正があると認めるときは単独で招集することができます。

 

Q:「定期総会」と「臨時総会」の違いは何ですか。 

A:

  「定期総会」は一般に会計年度の後、年に1回開催されるもので、「臨時総会」はそれ以外のものをいいます。

  「定期総会」では1年間の決算など活動の報告と、次年度の活動についての計画や予算、役員などについて審議

 されます。なお、区分所有法が定める「総会」には通常・臨時の区別はありません。よって定期総会で決められたこと

 も臨時総会で決められたことも、法的な効力には何ら違いはありません。

 

Q:「委任状」と「議決権行使書」の意味を教えてください。 

A:

  「委任状」は代理人を選任するための証明書。「議決権行使書」は賛成・反対の意思表明のための証明書です。

  総会に出席できない場合、代理人または議決権行使書によって議決権を行使することができますが、「委任状」と

 は代理人を選任したことを証明する書面を指します。誰を代理人とするか書かれていないものは無効となります。

  一方、「議決権行使書」とは、本人が直接議決権を行使する書面のことをいいます。

  総会で協議される議案について、賛成もしくは反対どちらかの意見を明記して、総会の招集者に事前に提出して

 おくと、総会に出席して議決権を行使したことと同様に扱われます。

 

Q:管理費等の滞納者への対応はどのようにしたらよいですか。 

A:

  法的手続きをとる場合とそれ以前にすべきことがあります。

  また、管理会社に管理委託している場合も最終的な責任は管理組合いにあります。

  いずれにしても大事なことは督促することではなく、回収することですので、滞納の原因や実情を正確に把握し、

 問題点に応じた督促をすることが必要です。

  特に滞納者本人が行方不明の場合の調査方法としては、居住者名簿に基づく家族等の所在確認や交際のあっ

 た住民から聞き取るほか、法務局で不動産登記簿を閲覧し、抵当権の設定条件等から経済的な状況を把握するこ

 となどが考えられます。

 

Q:管理費等の滞納者に対し法的手続き以前にすべきことはどのようなことですか。 

A:

  原則は滞納者を早く発見して対応することです。毎月の滞納状況を管理会社からもらい、管理会社での督促状

 況を確認します。

  自主管理の場合には、会計担当理事が毎月の滞納者リストをつくり、理事長は定期的にそれらの報告を受けて、

 早期の滞納者把握に努めるべきです。

  電話や訪問などによる督促、滞納額などを含めた滞納の事実を認める旨を記した「承認書」をもらうこと(時効の

 中断効果があります)など様々な方法が考えられます。そうした督促にも係らず、支払いがなされない、あるいは

 連絡がつかないといった場合には、配達証明付きの内容証明郵便を出し、その書面には債務と規約の内容など

 を明記するとともに、支払わない場合には法的手段をとる意思がある旨を示します。

  また、支払いが無い場合は半年以内に法的手続きに進むことが肝要です。

 

Q:管理費等の滞納者に対する法的手段にはどのような方法がありますか。 

A:

  最終的には訴訟提起になりますが、その前に比較的簡単に利用できる制度として、調定、少額訴訟制度、支払督

 促等といった制度があります。

  少額訴訟制度は60万円までの滞納額について利用でき、支払督促は60万円以上でも利用できます。

  裁判所によって異なりますが、申し立てから2週間程度で支払督促が出されます。ただし、相手が行方不明の場合

 利用できません。なお、これらについては、調停制度も含め簡易裁判所の受付センターにおいて申し立て手続き等

 の相談に応じています。

  これら簡易な制度によっても解決困難な場合は、弁護士に相談し、申し立て金額が140万円以下の場合には簡易

 裁判所、140万円を超える場合には地方裁判所に提起します。

 

Q:滞納を防止する手段を教えてください。 

A:

  いろいろな手段を複合してとる必要がありますが、主なものは以下のとおりです。

  ① 滞納者リストを作成する、

  ②管理費等の支払期日、支払方法の定めをおく、

  ③遅延損害金の定めをおく、

  ④駐車場利用契約解除の定めをおく、

  ⑤弁護士費用を請求できる旨の定めをおく、

  ⑥滞納督促のルールを決めておく。

 

Q:管理会社に委託する際の基本的な考え方はどういうことですか。 

A:

管理業務の委託は「サービスの購入」と考えるべきです。

  管理組合が管理会社に業務を委託する目的は、時間的経済的な負担も考慮した上で、管理会社の専門的な

 サービスを受けて効率の良い管理を実現する事にあります。

  契約の形としては管理組合が管理会社に委託するわけですが、実際には理事会が執行機関ですので、理事会

 が窓口となります。理事会は、管理委託契約に基づいて行われる管理業務について組合員に対し責任を持ちます

 から、理事会が 良く機能するような管理会社を活用すべきです。

  管理委託には、①一括委託方式(全面委託) と ②個別委託方式(部分委託)があります。

 

Q:良い管理会社を選択するにはどのようなことを配慮すればよいですか。 

A:

  まず、きちんとした仕様書を備えた管理業務委託契約書を締結することが基本ですが、管理組合側からの質問・

 疑問あるいは相談に対して十分な対応力があること、また、管理資料の作成についても求められるスピードと正確

 さに十分対応できることが目安になります。

  さらには、休日や夜間に緊急事故が発生する場合もありますので、24時間の緊急事故処理体制を備えていること

 も必要です。

 

Q:内装工事をしたいのですが、工事の騒音が気になります。下の階の方に断わった方が良いでしょうか。

A:

  専有部分の改造でも、騒音や下の階への影響が考えられるので、理事会の承諾を得る必要があります。

  理事会あてに「申請書」を提出し、理事長名の「承認書」が発行されれば工事はできます。

  理事会の許可とは別に、両隣、上下の住戸など迷惑をかけそうなお宅には事前に挨拶するなどの配慮も必要

 です。

 

Q:より良いコミュニティー形成のコツは何ですか。 

A:

  イベント等で、幅広い世代との交流を深めることが大切です。

  「近所づきあいが面倒だから・・・」という理由でマンションの生活を選んだ方も少なくないと思いますが、犯罪や

 災害、大規模修繕の実施など、いざという時のためにマンション内での関係を良好に保つことは、非常に重要です。

  また、現在、入居者の中にはご高齢の方も多くいらっしゃいます。ひとり暮らしの高齢者の問題を解消するために

 も、良好なコミュニティーづくりは大きな意味を持っているのです。

  下記に良好なコミュニティーづくりの案をいくつか挙げてみました。

  (1) 日常から挨拶をかわすよう心がける(挨拶運動の実施など)

  (2) 集会室を活用する(趣味のサークルなど)

  (3) 総会後に懇親会を開催する

  (4) 掲示板を活用してコミュニケーションをはかる

  (5) 季節のイベントを利用する

  クリスマスパーティや夏祭りなど、季節に応じたイベントを開催し、子供からお年寄りまで楽しめるような内容にする

 と良いでしょう。